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BENGAL46




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デザイナーズコメント

<トランスパックレース>
  <ベンガル46>はトランスパックレース用に設計しました。 これはロサンゼルスからホノルルまで、約2,300マイルの オーシャンレースです。スタートは概ね微風。 そこから約20マイル先のウェザーマークであるセントカタリナ島 西端までが、片のぼりのクローズホールド。その後は徐々に 風力が上がって、強風のリーチング。これが 2, 3 日続いたあと、 風は徐々に後に回りつつ軟化。以後、弱風から中風で、 風向はゆっくりと真うしろまで変化する。それ以後はジャイブを 繰り返しながらのスケーティング。これが1週間弱。 ハワイ近くになって強風で、そのままフィニッシュ。 以上が、私の実感の典型的トランスパックコンディションです。 ちなみに<ベンガル46>の場合、そのコンディションで、 必要航程は10日間前後と想定しています。
  トランスパックレースというと「豪快なスピンラン」 という形容詞が付きがちですが、実際は上記のとおりで、 後からの風ということもあって、ウインドコンディションは 比較的弱い(おおむね15ノットぐらいまで、強くても20ノット) というイメージです。使用ルールはIMS (実際はそれに類似したORR)で、このIMSデータを トランスパックマトリックスでふるいにかけて、 各艇のレーティングを算出しています。

<性能特性>
 以上の観点からすれば、この艇が重視すべきは中風から弱風 までのスピン航行性能ということになります。対して、 のぼりの時間はほとんどないのだから、その性能はほとんど 無視です。ただし、リーチングからスピンランまでの強風性能は、 その年のコンディションによっては大変重要になります (実際、強風のリーチングが得意の旧艇<ベンガルU>が、 よい成績を収めた年もありました)。したがって、 この風向の強風性能も高いにこしたことはないのですが、 これに力を入れ過ぎると当然ながらレーティングが高騰します。 着順だけを競うというのならその手もありますが、 このサイズのフネではやはりレーティングを強く意識せざるを 得ません。そんなわけで、本艇ではあえて、強風域での性能は 上ぼりであれ下りであれ軽視してあります。

<キャビンレイアウト>
 <ベンガル46>は純レーサーですが、ブイ回りのそれではなく オーシャンレーサーです。後者のキャビン使用頻度は前者に 比べると格段に高く、その機能デザインは非常に重要です。 特に航海計器、通信機、コンピュータ等の装備が多いので、 それらの配置場所には特別の配慮をしました。限られた空間の 中で多くの装備を有機的に利用するという目的から、 いわゆるチャートテーブルエリアを3ヶ所に分けました。 PC部、チャート部、通信部です。各々の位置は どこからでもアクセスが可能なように、 また重量配分にも考慮して、2ヵ所あるバースエリアの中間に 配置しました。同様の思想でギャレーも左右に分割してあります。 こうすれば、特に前後方向に限られたキャビン空間を有効に 活用することができるのです。

<コンパニオンウエイデザイン>
 このレースのように期間が長くなるとキャビンへの出入りが 繁雑になり、コンパニオンウエイの機能デザインは 重要になります。特にトランスパックの場合は高温多湿の時間が 長いので、ベンチレーション機能も考慮する必要があります。 それらを考えて、コンパニオンウエイは常時差し板なし、 オープンのままで走りきれる構造としました。少なくとも ハワイのスコールぐらいならば差し板は不要のはずで、 実際そのとおりとなりました。

                           大橋且典




PHOTO BY YOICHI YABE



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